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第18回 ハナショウブ(花菖蒲)

梅雨の季節に入った。鹿児島の梅雨は例年より遅く、めずらしい事に関東、北九州より遅れての梅雨入りである。
梅雨がないと田の水が少なく、田植えにも困ってしまう。今年も県内各地で、豊作を祈願するお祭りが開かれた。いよいよ田植え行事が行われると、梅雨になる。
田のあぜや、道端に鮮やかにピンク、紫と色とりどりの花をこんもりと咲かす紫陽花は、心を休めてくれる。やはり梅雨になくてはならない花である。
もう一つ、菖蒲の花も最近は、旧耕地を利用しての花作りが盛んである。数多くの種類の大きな花が、雨に濡れてさいているのを見るのも楽しい。
しかしやはり、野に咲くハナショウブ(花菖蒲)にはいつみても心ひかれる。
霧島連山のふもと、湧水町の一面に広がる畑の中に雨水が溜まっている池がある。
半円形をしてちょうど三日月の形をしているので三ヶ月池と呼ばれている。
雨の多いときはまんえんと水をたたえているが、雨の少ない年は水が枯れても花も息もたえだえに咲いている。
鮮やかな紫の色は、他の菖蒲の花を寄せ付けない凛とすっきりとした姿である。自生地の南限地として国の天然記念物に指定されている。
この季節、存在感を見せつける花である。

ハナショウブ(花菖蒲)